2013年11月9日土曜日

ウイルス学総論

ウイルスとは?

最小の病原微生物で20nm~300nmの大きさである
細胞壁・細胞膜・細胞質・核などの構造体を持たない
感染性病原体である
核酸と蛋白質の複合体でRNAまたはDNAを遺伝子とする。われわれの細胞体はDNAならびにRNAを遺伝子として有する
細胞に感染する。この細胞としては細菌から哺乳類まで含まれる
それ自身では生命ではないが生きた細胞に感染し自己を複製することより生命体と言える
二分裂では増殖せず増殖過程中、電子顕微鏡でウイルス粒子が見えなくなる時期(暗黒期、エクリプス期)が存在する
抗生物質は効果がない

分類基準
DNA or RNA
エンベロープの有無
一本鎖 or 二本鎖
またRNAウイルスについて、mRNAと同じ極性でmRNAの機能を持つ(+)鎖RNAmRNAの機能を持たない(-)鎖RNAに分かれる

基本構造
核酸(ゲノムgenome):RNAもしくはDNAのどちらか一方をもつ
カプシド(capsid):核酸を守る蛋白質含有の構造物
エンベロープ(envelop):蛋白質を含む脂質二重層から構成される膜でウイルス種により有無が異なり分類に用いられる

ウイルスの複製
基本的な複製過程は①吸着、②侵入、③脱殻、④ウイルス構成要素の合成、⑤組み立て、⑥細胞外への放出 の6段階に分けられる
詳細は第16回レジュメ参照


二本鎖DNAウイルス:アデノウイルス、ヘルペスウイルス
一本鎖DNAウイルス
部分的二本鎖DNAウイルス:B型肝炎ウイルス



2013年11月7日木曜日

血液学_血液凝固

ローマ数字で覚えようとすると記憶の定着が悪いので、ギリシャ数字で書く。
カスケード反応の全体図を一度書いてみて幹と枝を意識して覚えてしまう。


Ⅴ=5、ⅤⅡ=7、ⅤⅢ=8、ⅠⅩ=9、Ⅹ=10、ⅩⅠ=11、ⅩⅡ=12、ⅩⅢ=13
aは活性型のこと

凝固のカスケード

線溶(線維素溶解)

第1相は外因系と内因系の2つに分かれる
第2相、第3相は共通系
第2相 Ⅱプロトロンビン→Ⅱaトロンビン
                   ↓
    第3相 Ⅰフィブリノゲン→→可溶性フィブリン→安定化フィブリン

血小板凝集+フィブリン=血小板血栓
これで不可逆的凝固の完成である

外因系→PTプロトロンビン時間 内皮下細胞の組織因子TF=凝固因子Ⅲ
PTの延長=外因系凝固因子7の欠乏を疑う
内因系→APTT部分トロンボプラスチン時間
APTTの延長=8、9、11、12、HMWK(高分子キニノーゲン)、PKの欠乏を疑う。一部のフォン・ヴィレブランド病。

血友病A 凝固因子8の欠損
血友病B 凝固因子9の欠損
血友病は粘膜や臓器における深部出血が特徴的
血管性紫斑病(アレルギー性紫斑病) 凝固因子13の欠損
ビタミンKが不可欠な凝固因子は2、7、9、10
またプロテインC、プロテインSでも不可欠

血液凝固の制御機構
①血漿中のアンチトロンビンはトロンビンや10aを不活化して凝固反応を抑制する
②血漿中のプロテインCは血管内皮細胞上のトロンボモジュリンに結合したトロンビンによって活性化される。活性化したプロテインCはプロテインSを補助因子として5aや8aを不活化して凝固反応を抑制する。
※活性化プロテインCには線溶効果がある。それはプラスミノゲンアクチベータインヒビター(PAI-1)不活化、TAFI活性化抑制などである。

2013年11月6日水曜日

臨床検査総論_尿蛋白

尿中遊離L鎖
H鎖産生低下
FL鎖が過剰産生

多発性骨髄腫
骨髄検査
異形性をもつ形質細胞の増加
形質細胞の骨髄を中心とした単クローン増殖とそれによって過剰に産生される単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)の血液中、尿中増加

症状
  • 造血↓によって貧血、白血球減少、赤血球減少
  • M蛋白↑によって①正常免疫グロブリン低下、②腎障害、アミロイドーシス、過粘稠度症候群
  • 骨破壊によって高カルシウム血症、病的骨折、圧迫骨折、脊髄圧迫症状

スルホサリチル酸法
①酢酸を加え尿を酸性に→蛋白は(+)に荷電
②スルホサリチル酸(アルカロイド試薬)を加えることで不溶性の塩ができ沈殿

指示薬は「蛋白誤差」の応用

  • 蛋白誤差とは「ある種のpH指示薬は、溶液の真のpH値よりも高いpH値の呈色を示し、そのpHのズレは溶液中に含まれる蛋白の量に比例する」という現象で、特にbromphenolblue(B.P.B.)系の物質で顕著である。
  • このB.P.B.系の指示薬は酸性下では黄色を呈するが、蛋白が存在すると蛋白のアミノ基と結合して塩様青色化合物(アニオン型)を形成し、真のpHより高めのpHに相当する青色を呈する。この青色の強度が尿中蛋白濃度に相当する。
  • 試験紙には指示葉が変色を起こすよりやや酸性側(約pH3)にするため、クエン酸緩衝剤が含まれている。この緩衝剤の中で、pH指示薬は陰イオンに荷電し、陽イオンに荷電した蛋白と反応することで、蛋白陰性時は黄色、陽性の時はその量に応じて黄緑色から緑青色に変化するため、蛋白濃度を半定量的に測定することができる。
  • 次に特異性については、尿中にはさまざまな蛋白が出現するが、その中でもアルブミンと特異的に反応する。グロブリンおよびBenceJones蛋白も反応するが、その検出感度は低く、グロブリンではアルブミンに対して約1/10の感度しかない。

2013年11月5日火曜日

生理機能検査

特徴
①患者と接する
社会人として接する点でサービス業である
あいさつ、身だしなみが大切。
不安と苦痛の軽減、ハラスメントの防止、事前の説明→患者の協力が必要
②精度向上
技能の差が大きい。つまり、経験が重要。とくに超音波では。
経験も重要であるが基本的な事項を頭に叩き込んでおくことに損はない
患者の協力がなければ精度向上はない。
③安全管理
ベッドからの転倒
患者の取り違え→患者さんに名乗らせる、バーコードの確認
左右の取り違え
検査中の急変→対応マニュアルに従う

臨床検査技師の仕事において生理機能検査などの新たな業務範囲の拡大が顕著
アナログ的検査が大きな活躍の場で個人としての実力を発揮できる分野だといえる。
とくに超音波検査の需要upおよび適応範囲の拡大
また医者の超音波離れ

2013年11月4日月曜日

マイコプラズマ

共通性状
  • 通性嫌気性グラム陰性菌
  • 細胞壁(ペプチドグリカン層)を持たず脂質二重膜で覆われ多形性(フィラメント状、らせん状)の形態を示す
  • 細胞壁の欠損によって菌はペニシリン系とセファロスポリン系薬に耐性を示し染色され難い
  • 細菌ろ過器を通過する(最小サイズは大型ウイルスとほぼ同サイズ)
  • DNA、RNAを有し自己増殖能を持つ
  • 遺伝子暗号が一部変化している。本来ならばstop codonであるUGAがトリプトファンを指定する
  • 発育にコレステロールを必要とする
  • 目玉焼き状コロニーを作る。光学顕微鏡で観察可能である。
  • 培養→臨床材料の直接塗抹標本では検出不可。マイコプラズマ用寒天(酵母滲出液とウマ血清添加PPLO培地)にて分離する

臨床検査総論_検査材料

尿は成分の変動が日常生活に左右されやすい
速やかな前処置が必要である

トンプソンの2杯分尿法
肉眼的血尿の場合の出血部位を推定する方法
はじめの尿とおわりの尿を別々のコップに分けて採取しそれぞれの尿の色調を評価する

淋菌感染症
  • 臨床現場でグラム陰性球菌といえば
喀痰のモラキセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis) 
   髄液の髄膜炎菌
   精液の淋菌
  • 男性は主として淋菌性尿道炎を呈し、女性は子宮頸管炎を呈する
  • 第5類感染症定点把握疾患
  • 患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光、乾燥、温度の変化、消毒剤で簡単に死滅する
  • 薬剤耐性菌が増えている



血液学_1

白血球の種類
顆粒球→好中球、好酸球、好塩基球

分葉核球+桿状核球
感染症に陥ると核の左方移動によって桿状核球が増加する

MPO染色
陽性:顆粒球、単球(弱)
陰性:リンパ球

エステラーゼ染色
非特異的な染色で陽性:単球
特異的な染色で陰性:好中球

授業で扱った血液の病態
①ITP(特発性血小板減少性紫斑病)
原因となる疾患や薬物が認められず、血小板破壊が亢進して後天性に血小板減少(10万/μL未満)をきたす疾患。主に血小板糖タンパク受容体に対する抗血小板抗体が関与した自己免疫反応であり、自己免疫性血小板減少と呼ばれるようになってきている。

②フォン・ヴィレブランド病
VWFの生物活性が低下ないし欠如している病態。

③血栓症
血管を閉塞するような病的な血栓症状が起こると臨床的には血栓症になる。動脈血栓は主として白色血栓で血小板とフィブリンからなる。動脈血管内皮に傷害のあるところに血小板が粘着、凝集して生ずる。通常は動脈硬化巣を素地に起こる。静脈血栓は赤色血栓が主で血流が停滞したところに血液の凝固が始まり、フィブリン網の中に赤血球が取り込まれて生ずる。



血液中の血小板が減少し脾臓の血小板プール中の血小板が増加すると脾腫が生じる。