2013年11月4日月曜日

マイコプラズマ

共通性状
  • 通性嫌気性グラム陰性菌
  • 細胞壁(ペプチドグリカン層)を持たず脂質二重膜で覆われ多形性(フィラメント状、らせん状)の形態を示す
  • 細胞壁の欠損によって菌はペニシリン系とセファロスポリン系薬に耐性を示し染色され難い
  • 細菌ろ過器を通過する(最小サイズは大型ウイルスとほぼ同サイズ)
  • DNA、RNAを有し自己増殖能を持つ
  • 遺伝子暗号が一部変化している。本来ならばstop codonであるUGAがトリプトファンを指定する
  • 発育にコレステロールを必要とする
  • 目玉焼き状コロニーを作る。光学顕微鏡で観察可能である。
  • 培養→臨床材料の直接塗抹標本では検出不可。マイコプラズマ用寒天(酵母滲出液とウマ血清添加PPLO培地)にて分離する
マイコプラズマ属
自然界に広く分布しほ乳類の口腔・泌尿生殖器などから検出
ヒトの病気と関連するのは3菌種
M.pneumoniae(マイコプラズマ・ニューモニエ)→原発性の非定型肺炎
M.hominis(マイコプラズマ・ホミニス)、Ureaplasama urealyticum(ウレアプラズマ‐ウレアリチカム)→泌尿生殖器感染症(尿道炎、骨髄内炎症、分娩時感染症)

肺炎マイコプラズマ(非定型肺炎)
  • 感染症法五類感染症
  • 原発性異型肺炎、気管支炎、咽頭炎
  • 秋から冬に頻度が増加(世界中で1年中発症している)
  • 飛沫感染で拡がり小児では頻度が高い(学校などの施設や家庭内での感染)
  • 再感染があり終生免疫とならない

最もよく知られる病型
  • 潜伏期2-3週間、感冒様症状で発症
  • 乾性咳嗽が長期持続(小児・全身状態はさほど悪化しない)
  • 胸部X線では間質性の淡い浸潤像を示す
  • 通常予後は良好
検査学的診断はレジュメ参照

M.hominis、Ureaplasama urealyticum
通常泌尿器生殖器に定着し、特に性的に活発な成人に高頻度

M.hominis (マイコプラズマ・ホミニス) →産褥熱(さんじょくねつ)や流産後の発熱、骨髄内炎症性疾患などに関与
Ureaplasama urealyticum(ウレアプラズマ‐ウレアリチカム)→男性の場合、尿道炎の一般的な原因菌(淋菌、クラミジア陰性の場合)。女性の場合、子宮内膜炎の原因菌の一種。